ナラティヴ・カフェ Narrative Cafe

Diabetes Cafe:糖尿病診療におけるナラティヴ・アプローチ

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illnessという概念との出会い

2月 6th, 2016 · No Comments · ナラティブ・ベイスメント・メディスン, ナラティヴ・アプローチ(病いの語り、意味), 医療人類学(病い体験、illness)

ナラティヴ・アプローチはさまざまな学際的な背景をもっていますが、医療人類学もその1つです。医療人類学では普通の人々が理解し、感じている病気の概念や経験を「病い」(illness)と呼び、医療の専門家が定義する病気の概念を「疾病」(disease)と呼び、区別します。しかし、生物医学モデルで教育された私たち医療者はそれぞれ異なった病い体験であるillnessを理解することがとても難しいとされています。illnessという概念は現在の生物医学中心の医学教育では完全に抜け落ち、患者の病い体験はその個人とは切り離され、診断と治療という枠組みで一元化され、医療者の視界から埋没してしまっています。

 こうした現実を1型糖尿病を患う少年で象徴的に表現したのが、このスライドです。私はこの図に以下の様なメッセージを込めました。1型糖尿病を患ったこの少年が泣いている訳はインスリン注射や食事制限が辛いからでしょうか?いや、そうではない。少年は、専門家が外側から見える糖尿病(disease)ばかりを見て、彼が感じている世界(illness)を理解してくれないから泣いているのです。内科医であると同時に文学博士であり、倫理学者でもあるリタ・シャロンが表した「病いにおける致命的な分断」とはまさにこうした現実を指している(図2)。Illnessという概念との出会いは、その後の筆者の考えに大きな影響を与えることとなった。

写真をクリックすると拡大します。
illnessを理解できない医療者.001

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