ナラティヴ・カフェ Narrative Cafe

Diabetes Cafe:糖尿病診療におけるナラティヴ・アプローチ

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体系化SMBGによるテーラーメイド治療/チーム医療の推進

12月 9th, 2012 · No Comments · 薬剤最適化プログラム

Structured SMBG、つまり7ポイント・3日間のSMBGによる薬剤最適化プログラムの臨床的意義をまとめてみましたので、ご紹介します。ロッシュ・ダイアグノスティック社のST update という冊子のために書いたものです。

  職域という壁を越えて、真のチーム医療を実現するACCU-CHEK 360°View

■SMBGの可能性を最大限に引き出すプログラム

SMBGが大切であることは誰でも知っている。しかし、それを有効に活用できているか?と問われると、“Yes”とはなかなか答えられない。私たちはこれまでSMBGを有効活用する方法をもたなかった。ACCU-CHEK 360°Viewはまさにそうした期待に応えるプログラムである。実際に使ってみて、このプログラムがインスリン療法の最適化に大きく貢献することは当初予想した通りであった。しかし、予想もしていなかった新たな可能性を発見した。それは、このプログラムが非インスリン2型糖尿病患者に対するテーラーメイド治療の可能性を大きく拡げるという点である。しかし、ここで強調しておきたいことは「カーボカウントの理解なくして、SMBGの有効活用はあり得ない」ということだ。

■SMBGの有効活用にはカーボカウントの理解が不可欠

 360°Viewは患者の3日間7ポイントSMBGから患者の血糖パターン分析を行い、その原因を探りながら、行動計画を立てていく。このため私は患者に対して、以下のように説明している。

「本プログラムでは皆さんの3日間の食事記録と血糖測定記録を統合することによって、あなたの血糖応答(日内変動)の異常の特徴を把握し、その異常をもたらす要因として『食事管理上の問題』と『薬物療法のミスマッチ』の両面から、あなたの血糖管理を改善する計画を提案することができます。だから3日間の詳細な食事記録をお願いします」

 ■Structured Testingは患者の血糖応答をスタッフ全員が共有することでチーム医療を推進する

 栄養士は食後高血糖が【患者の食事管理不良】によるものか、【薬剤と病態のミスマッチ】によるものかを明らかにするため、患者の食事記録から1食の糖質量を評価し、医師に報告する。医師は糖質の過剰摂取が食後高血糖の原因と判明した場合には栄養士に「基礎カーボ指導」を指示し、患者の糖質管理が適切と判断された場合には、患者の病態(血糖パターン)と処方された薬物のミスマッチを疑い、「主に食前血糖値を改善する薬剤」「主に食後血糖値を改善する薬剤」を並記した「薬剤リスト」を患者に見せながら、処方変更を進める。これにより患者は薬物療法の決定に関与することができる。これはまさに2012年度ADA/EASDの意見表明で強調されていた「決定共有アプローチ」の実践に他ならない。また看護師、検査技師は血糖値異常の原因となり得るさまざまな要因を挙げ、療養指導に活かしていく。また薬剤師は主に薬物療法に関連した視点から療養計画に参加する。こうして、これまでそれぞれバラバラに行われていた栄養療法と薬物療法、療養指導が、SMBG(=患者の血糖プロファイルをチーム全員で共有すること)によって統合される。

■栄養(カーボカウント)—血糖応答(SMBG)—薬物療法は一体不可分の関係にあるという認識が真のチーム医療を推進する

 これまで栄養療法について議論するときには「食事」だけが議論され、薬物療法について議論するときには「薬」だけが議論されてきた。しかし、当然なことではあるが、ある薬が効くかどうかは患者の「食べ方」によるはず。従って、薬(薬物療法)と食事(栄養療法)は一体不可分でなければおかしい。しかし、これまでこの2つは別々に行われてきたため、しばしば『職域という壁』が立ちはだかった。つまり「私は栄養士という立場なので薬について意見を言うことは・・・」という遠慮を生み、チーム医療を妨げる大きな障壁となっていた。しかし、Structured Testingではスタッフ全員が「患者の血糖プロファイルを共有する」ため、『職域の壁』を越えた意見交換を可能とする。このことはまさに革新的と言える!

■最後に

 非インスリン2型糖尿病患者に対する薬物療法には生活習慣病管理料算定時の加算という方法でしか、SMBGの保健適応が認められていない。このため、これまで我々は薬物療法が奏効しない患者を前に、食事指導を強化するべきなのか、薬物療法を強化するべきなのかという血糖コントロール改善のための基本的な情報すら分からないまま、臨床経験のみを頼りに手探りで診療を行ってきた。360°Viewシステムを体験した私は、インスリン療法中の患者のみならず、特に非インスリン2型糖尿病患者へのテーラーメイド治療に本プログラムが大きな役割を果たすものと確信している。

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