ナラティヴ・カフェ Narrative Cafe

Diabetes Cafe:糖尿病診療におけるナラティヴ・アプローチ

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IDDM患者のMind Map(幼児から50代まで)

4月 7th, 2012 · No Comments · 1型糖尿病

美しい週末、皆さんはお花見に行かれましたか?

3月25日(日)、宇都宮市で「栃木県ヤング・小児糖尿病講演会」があり、招かれて1時間20分の講演をしてきました。この会は小山イーストクリニックの大橋 博先生がIDDM患者さん同志の横のつながりを構築するためにずっと地道に活動してこられた会です。講演会当日、大橋先生とお話ししながら、この地域の糖尿病医療にかける先生の熱い思いを伺い、胸が熱くなりました。

当日は「ひとり一人がみんな違う〜それぞれの病い体験を参照する〜」というテーマでお話ししました。なんとかワークショップ形式で行いたいと考え、「Mind Map」という方法を用いました。限られた時間の中で行ったため、お互いの思いを共有し合う時間はとても限られていて、参加者からももっと時間をかけて行いたかったという感想をいただきました。でも「こうしたワークショップ形式の講演会ははじめてだったので、とても楽しくって、いつまでも終わらないで欲しいと思いました」という感想もいただきました。

少し遅くなってしまいましたが、皆さんからいただいたMind Mapの内容をご紹介したいと思います。このワークには3才から50才代までの年齢層の皆さんが参加してくれました。

Mind Map
テーマ1:「しあわせ」

これはMind Mapの練習のつもりで行いましたが、とても素晴らしい内容で、僕自身深く教えられました。

・自由・健康・たくさんの人々・家族の顔・やさしい心・やさしい言葉のやりとり ・料理をつくる・料理を食べる・ホッとお茶を飲むくつろぎタイム
・天気が良い ・ごはんがおいしい ・家族が元気 ・面白いことを考え付いた
・家族を笑わせられた ・特に気にすることがない ・好きな時間がある  ・楽しいものがある ・お酒がおいしい

・テレビ ・趣味 ・お金 ・おいしい物 ・遊ぶこと ・寝る ・お酒

・家族 ・美味しい食べ物 ・晴天 ・笑顔 ・甘え

・おいしい物を食べている時 ・料理をしている時  ・天気が良い時 ・ありがとうと言われた時  ・お花が咲いた時  ・心配してくれる人がいると思った時 ・好きな人に会えた時  ・お風呂に入った時 ・ケーキが美味しい時 ・いい映画を観た時 ・ごはんをたべるとき ・友達としゃべってるとき ・入浴中 ・家での談らん
・医療スタッフとの関係が良いとき

・夢をみているとき ・家族といるとき ・歌うとき ・あそぶとき ・ゆうか(妹さんの名前) がいるとき ・ママといるとき

・周りの人が支えてくれている事 ・好きなことが出来る事  ・笑っている時 ・料理している時 ・家族が健康 ・美味しいものを食べた時 ・旦那と笑う時間  ・2度寝

・お年玉(おこづかい)  ・本  ・ボカロ  ・天気いい日   ・からあげ  ・チャムさん(ペット)  ・身長が伸びたとき  ・いい点数のテスト ・血糖が良かったとき

・気温・食事・平穏な日々・草とり

・仕事 ・社会貢献 ・長生き ・趣味 ・自然 ・家族 ・遊び ・食事 ・寝ること ・温泉

テーマ2:IDDMになって感じる困難

56才、病歴33年
・インスリンについての理解・低血糖  ・人との会話(体調の悪い時) ・人の付き合い(食事など)で注射の時間があること

47才、病歴33年 ・自分でできなくなったら(将来の不安) ・胃腸が弱くなる ・年老いていく両親 ・病状の安定  ・Drとの関係(この先主治医が引退した後、新しいDrとうまく関係ができるか) ・老後 ・更年期

病歴30年 ・通院が面倒  ・外出時ぷらっと出られない ・ちょっと面倒 ・考えること多い  ・低血糖の補食まずい  ・DMに関わりすぎると時間がない ・近所で薬が欲しい ・近所の医師でも同レベルの医療が受けたい  ・変に心が病んだ人に出会うとつかれる  ・インスリンを打っていると老人ホームの入居費が高い。 ・将来お金が健常人よりかかるという予想に今から大変。

病歴29年 ・周りの理解を得ること ・血糖コントロール(インスリン注射・低血糖・高血糖) ・日常生活からの遮断 ・子どもの成長への不安

病歴17年 ・低血糖にならないように ・高血糖にならないように ・合併症に対する不安
カミングアウト ・病名に対する周囲の誤解  ・A1cが下がらない
・努力が結果に結びつかない  ・見えないところでのコントロールのむずかしさ  ・受け入れるための自分の理解 ・お金 いつまでお金が持つのか…

病歴12年、18才 ・「糖尿病」についてのまわりの人の考え方  (甘いものばっかたべてると糖尿病になるよ!とかって言う) ・注射を打つ場所 ・エーワンシーの安定 ・合併症にならないために ・そこまで困難なことない!

病歴3年(保育園児) ・けっとうかんり ・しゅくだい ・いんすりん ・きがえるとき ・たべるとき ・いんすりんをうたないでたべてみたい

病歴2年 ・1型を時々受け入れられない事がある ・(A1c)コントロール ・低血糖の辛さ ・理解してもらえない時も多い ・一生一型のことを忘れられない ・誰にもカミングアウトできない ・合併症への恐怖 ・食べる前の注射 ・1型になってからお金が掛かる←これは結構思うことです。

病歴2年 ・ゴミ(針とか)  ・コントロール  ・打つ時間(夜)  ・薬の量、なくなるからもらいに行かないといけない ・荷物・打つ場所(肌とかも) ・診察の回数? ・痛い時

病歴9ヶ月(患児の母) ・高血糖・食べすぎ ・低血糖・脱水症状etc… ・めんどくさい(インスリン) ・(知人への) 説明  ・思い切り動くことへの不安 ・理解のうすさ ・バイキング ・あげもの(脂質との戦い)

病歴10ヶ月(患児の母) ・理解不足 ・無知 ・間違えた対応 ・仲間がいない(ネットしか) ・コントロール ・食事 ・伝え方がわからない。 ・自分のことでない分動けない。
その他 ・注射 ・低血糖  ・食事 ・食べすぎ
・カミングアウト ・予期せぬ低血糖 ・注射の場所

テーマ3:IDDMになって見つけた良いこと

病歴43年
負けず嫌いになり、現在まで自分なりに頑張ってきました
(健康な人に負けたくない…)
人との出会い
病歴30年
・全国に友人が出来る  ・地域の情報が手に入り、旬のものが届く。
・遊びに行くとフルアテンダントしてくれる。 ・医療者と知り合える。
・MRから医療者の裏の顔を知れる。 ・一応毎月からだのメンテナンス出来ている ・インスリンの遍歴を体験した ・良きフィールド(DM)が出来た。 ・他の病気の人とも仲良くなれる
・小児より発病なので自己分析力がついた。 ・薬の知識が高くなった。

病歴29年
・同じ病気の友人 ・自分の身体を大切にしようと思う。
・さまざまな体験(嬉しいこと・悲しいこと)  ・他人に対しての優しさ

病歴17年 ・人との出会い ・人間の体について考えることが出来た ・心配してくれる人のありがたさ ・仕事できる時 ・色々歩けどうまく言葉に出来ません。

ただ今、なぜ私がこの病気に選ばれたのか…?模索中です。 それがわかった時に、10個以上のよかったことが見つかるかな(^^)

病歴12年、18才 ・普通に生活できる ・なる前よりの体調管理に気を遣うようになった ・こういう糖尿病の会でいろんな人がいるってわかったこと ・医療関係の仕事とかに興味をもてること。

病歴3年(患児の母) ・ない ・つねにない

病歴2年 ・人間の身体はすごいと知った ・周りの人に感謝できた事 ・自分の身体に興味を持った。 ・”いい病院に出会えました。いつも心の支えになるスタッフがたくさんいる病院です。” ・1型の仲間に出会えたこと。 ・食事に気をつけることが出来る ・”すい臓の大切さを知れた。本当に凄いことをしてくれている!

病歴2年 ・同じ病気の人に出会えた ・色々な意見があることが需要しやすくなった

自分次第の病気でやりがいがある。 ・食べ物に対する知識が増えた。 ・一回の食事を大切にする。(本当に食べたいものを食べる)

病歴9ヶ月(患児の母) ・ちょっとかしこくなった ・病院の人々との関係 ・犬を飼ってもらえた(運動用) ・外来に行くための早退 ・New友

病歴10ヶ月(患児の母) ・子どもとの絆が深まったかも? ・子どもの本音が聞けた ・信頼できる先生との出会い ・家族の絆も深まったかな? その他 ・健康に注意するようになった。 ・食事のバランスに気を使うようになった。

以上、参加者のMind Mapをご紹介しました。
この講演会に関する僕のtwitterへの投稿を以下にご紹介します。

IDDMの抱える問題には、身体的な問題、さらにはスピリチュアルな問題がある。スピリチュアルな問題とは、人前で自己注射をするか、病名をカミングアウトするべきか、違和感のある病名に対する抵抗感などである。これらはIDDMに対する社会的意味づけをめぐる問題であると気づく。

こうした「意味領域」の問題を扱うことはとても重要だ。宇都宮のヤングDMの会で「お互いのIDDM体験を参照する」をテーマにしたのもそのためだ。自己注射、SMBGを人前でするかどうか、病名を告知するかどうか?は当事者と社会との関係、当事者と周囲の人間との関係によって決まる。

IDDMをもった他人の体験を参照することで、IDDMに対する思いや社会とIDDMの関係についての自分の視点が変化する可能性がある。色々な体験、視点を共有することで、参加者のIDDMに対する視点が拡がるきっかけをつくれたら良いと思う。

IDDM患者のスピリチュアルな問題の多くは、IDDMに対する社会的な意味付け(これは当事者の主観に基づく)と自分の意味付けのギャップによって生まれていると思う。それが正しいとするなら、互いの経験を参照することで参加者が考えていたIDDMに対する社会的意味づけを拡大することが可能だ。

IDDM講演会で、NBMの話を糖尿病者の前で語る意義について思い巡らしていて気づいた。そうだ!IDDM者に『当事者知の普及』を勧めることではないか?と。僕の役割は「教科書的DM」しか知らない専門家と体験したリアルなDMを知っている当事者を結ぶことにある。

栃木ヤングDM講演会を終え、新幹線なう。時間は足りなかったけれど、幼稚園児から50代までという幅広い年齢層の方が一緒にグループワークに参加した意義を実感した。Mind Mapのワークで「IDDMの困難」よりも「IDDMになって良かったこと」の方を沢山書いている方が多く、感動した。

IDDM専門家としての自覚をもって「当事者知」を広めて欲しいというメッセージを語った。果たして伝わったかな?専門家は教科書的DMは知っていてもリアルなDMを知らない。だから当事者知を彼らに伝えて欲しい。当事者だから見える視点、当事者になって初めて分かった真実、それを伝えてほしい。

親睦会の場で摂食障害を克服した女性と話した。「自分の経験を誰かのために役立てたいけれど、どう伝えたら良いか?」と。自分の経験を伝えたいと思うあなたはきっと摂食障害という大きな困難をまさに乗り越えつつあるということでしょう!素晴らしいね。

沢山の良い聴き手をもった人は素晴らしい語り手になれます。だから人とのつながりを大切にして沢山の良い聴き手と出会うと良いです。次に、その体験を客観視(メタ認知)できるように訓練して下さい。自分の体験を他人事のように一般化して語るのです。その言葉は同じ苦しみをもつ人の胸に届くはず。

IDDM講演会:「しあわせ」のMind Mapのベスト5を発表します。1位:家族(家族の健康・笑顔、家族団欒)2位:美味しい食事3位:支えてくれる人(友とお喋り、好きな人)4位:優しい言葉(心配してくれる人、有り難う)5位:料理をつくる。僕の感想:みんな人生を深く生きている!

Mind Mapの結果:1位 家族の笑顔、健康、旦那と笑う、2位 美味しい食事、お酒が美味しい、3位 支えてくれる人(お喋り、大好きな人)4位:優しい言葉(心配してくれる人、有り難う)、その他 料理をつくる、平穏な日々。僕の感想:みんな人生を深く生きている!

Mind Map:IDDMになって見つけた良いこと「なぜ私がこの病気に選ばれたのか…?模索中です。それがわかった時に10個以上のよかったことが見つかるかな(^^)」。僕のコメント:自分のストーリーを見つけるとはIDDM者としての自分の人生に意味を見いだすこと。きっと見つかる。
(このコメントは拒食症を乗り越えた女性の書いたコメントです)

Mind Map「しあわせ:」発症17年目の女性。美味しい、心配してくれる人がいると思ったとき、好きな人に会えたとき、有り難うと言われたとき、お花が咲いたとき、料理しているとき、お風呂に入った時。僕のコメント:生きることの本質がここにあり、患者支援の原点がここにある。

Mind Mind Map「良かったこと」:病歴2年目。色々な意見があることを受容しやすくなった。自分次第の病気なのでやり甲斐がある。1回の食事を大切にする(本当に食べたいものを食べる)。食べ物に対する知識が増えた。僕のコメント:とても深いレベルで生きている人の言葉。

午後からお花見に行ってきます!

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