■医療者と患者のコミュニケーションはRCTの結果よりもインパクト大きい
医療者文化ではEBMの影響力は絶大。でも日常診療での実感はRCTの結果よりも医師のコミュニケーション能力の影響の方が遥かに大きいという現実。臨床家はEBMが無視している医療コミュニケーションに目を向けて欲しい。
学校の担任の先生が変わったら、急に学校の成績が伸びる児童がいる。慢性疾患のケアだって、それとまったく同じ。
食べ過ぎる患者に対して、叱責をしたり、さらに厳しい制限を加えるなんて、子の親を経験した大人とは思えない。
■厳しい指導よりコミュニケーションのあり方を再検討する方が得策
処方変更を嫌がる患者に向かって「あなたは肥満しているからSGLT2iを服用するべきだ」と上から目線向けるより、処方変更を嫌がる理由を尋ね、コミュニケーションのあり方を振り返る方が早道。
■知って欲しい医療人類学の視点
医療の平等化、医療の民主化を進めたい専門家は、患者の体験世界(illness)に目を向けて欲しい。
「病気」を診て、「人」を診ずって格言があるけれど、「人」を診るとは「病い(illness)を理解しようとすることですよ。
■医療コミュニケーションの効果は投薬や手術に匹敵する
特定のコミュニケーションのあり方が回復のあり方に影響するとすれば、そのとき、コミュニケーションは医療における副次的な存在ではなく、手術や投薬と並ぶ重要な医療的手段のひとつとなる。
野口裕二「ナラティヴと共同性」より
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