ナラティヴ・カフェ Narrative Cafe

Diabetes Cafe:糖尿病診療におけるナラティヴ・アプローチ

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クスリたち君が主役の演劇『糖尿病薬劇場】〜経過報告

11月 1st, 2017 · 糖尿病療養指導

18:30に集合して、みんなで『糖尿病薬劇場』のミーティングを行いました。今日は「注射治療グループ」の台詞づくりを行いました。もっぱら生物医学モデルやセオリーに基づいて発言する医療者たち。それに対して6人のクスリ君たちは患者である大盛くんの生活を尋ね、気持ちを確かめながら、優しく治療法を提案していきます。

■注射グループの台詞づくりを終えて感じること。

注射グループの台詞を書き終えて驚いたことがあります。飲み薬グループとは台詞の内容が大きく異なったものになりました。

例えば、インスリン君の自己紹介は1921年のトロントにまで遡りました。1923年から今日に至るまでのストーリーがとうとうと語られました。これは予想外の展開でした。またインクレチン君の自己紹介も飲み薬君たちとはひと味違った説明となりました。

■難しい言葉や概念の説明

糖毒性、インスリン抵抗性、インクレチンなどの説明は、クスリ君たちに替わって、正論博士が担当することとしました。クスリ君たちにはなるべく「日常会話」「ローカルな言語」を使って、劇を進行させていこうと思います。

今日でシナリオの8割は完成させることができました。クスリ君たちが主役の演劇なんて、果たしてモノになるだろうか?と心配しながら始めましたが、予想以上の出来映えにみんな満足したし、なによりも普段使わない脳の領域を使う作業に深い充実感を感じました。

演劇を通して、患者さんの「薬に対する感情や理解度」が、どんな風に変化するのか?興味深いです。

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演劇で糖尿病治療を学ぶ『糖尿病薬劇場』を始動します!

11月 1st, 2017 · 糖尿病療養指導

クスリ君たちが主役の演劇を企画中です。

毎回、登場する患者さんに合わせて、クスリ君たちが力を合わせて、患者さんを励まし、相談に乗りながら、治療法を提案していく筋書きにしたいと思っています。

医療者は常識や医学的なロジックに囚われた指導をしますが、クスリ君たちは患者さんの気持ちに寄り添いながら提案をしていきます。そんな演劇を糖尿病教室に取り入れたいと思っています。

目的は

①患者さんに糖尿病治療や糖尿病薬のことをより深く理解してもらうこと。

②クスリ君を演じることで、医療スタッフに患者中心の療養指導を学んでもらう。

③糖尿病治療、糖尿病薬を患者さんたちに理解しやすい「ローカルな言語」で説明するトレーニング

第1回はA1c12%、BMI 35のトラック運転手を相手に「経口薬グループ」と「注射療法グループ」に分かれて、それぞれが治療上の提案をする予定です。

最終的に、どちらの治療が良いのか!?選ぶのは、患者役のスタッフです。クスリ君たちに患者の心を動かすような提案を競い合ってもらいます。

昨夜、みんなで「経口薬グループ」の台詞づくりの作業をしましたが、とても楽しい時間でした。

この劇で、はじめて監督と演出家を経験する予定です。
来年3月の院内のDM教室での上演に向けて、じっくりと準備をしていきたいと思います。

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結果にコミットしてくれる患者さんを育てる

10月 10th, 2017 · 糖尿病療養指導

今日は、処方変更の結果を、医師と一緒に心配してくれる患者さん達の話題です。

医学的な事項を患者さんが理解できる言葉で説明して、患者さんに自己決定してもらうことを『インフォームド・チョイス』と言います。詳しくはスライド(クリックで拡大)を参照していただきたいと思いますが、「医師が『患者』を管理する」と考える伝統的な診療スタイルではなく、「患者さんが『糖尿病』を管理する」と考えます。従って、患者は医師に従う存在ではなく、医師の協力のもと、最終的には自分自身で決定する存在であると考えます。こうした関係では、医師には患者が自己決定できるようになるまで、分かりやすく説明する義務が生じます。

そして、インフォームド・チョイスを徹底して、決定共有を推進する外来では、患者さんが「結果」にコミットし、医師と一緒に心配してくれるようになります。

メトフォルミン(商品名メトグルコ)は2型糖尿病治療の中核薬剤です。250mg錠=9円90銭、500mg錠=16円70銭と安価な薬ですが、多くのエビデンスを持ち、世界中の糖尿病医からもっとも信頼・尊敬されている薬剤のひとつです。メトフォルミンは投与量に依存して血糖降下作用を表しますが、腎排泄性薬剤なので、腎機能に応じて減量しなければなりません。従って、糖尿病医が毎日経験していることは「腎障害のある患者さんのメトグルコ投与量の調整」です。

例えば、A1c>9%の患者さんのメトグルコを漸次増量し、A1cを改善させることに成功すると、その後 腎機能が悪化してくることがあるし、反対にeGFR<50となって、メトグルコ500mg/日へ減量すると、メトグルコ著効例(responder)の患者さんの場合、一気にA1cが上昇してくる場合があります。
このように、メトグルコ投与量と連動する「A1c値」と「血清クレアチニン(eGFR)」は糖尿病医を悩ませる、もっともありふれた問題で、診察の際、いつもA1c値とeGFR値という2つの検査値を眺めながら溜息をつくことになります。
しかし、僕の外来では「腎機能とメトグルコの関係」を詳細に説明し、理解してもらう努力をしています。そうすると、その説明を理解できる患者さんは、メトグルコ投与量変更後の結果について、医師と一緒に悩み、心配してくれるのです。
例えば 腎保護のためにメトグルコを減量した患者さんの場合、次の診察時、患者さんの方から「前回、メトグルコを減らしていただきましたが、今日の私のA1c値は大丈夫でしょうか?」と尋ねてくれます。
また「血糖コントロールが悪化したため、やむを得ず、メトグルコを増量した場合も、「先生、前回メトグルコを増量しましたが、今日の私の腎機能は大丈夫でしょうか?」と尋ねてくれます。そして「腎機能、悪化していませんよ」と答えると「あぁ〜、良かった!」と胸を撫で下ろして下さいます。
このように、患者さん自身が医師と一緒になって、処方変更の結果にコミットしてくれる訳です。

僕は処方変更の結果にコミットしてくれる、こうした患者さんを本当に頼もしいと感じています。

スライドを参照して下さい(クリックで拡大します)。

2つのスタンス.001

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告知:シンポジウム企画予告 「食べることの意味」を多元的に考える

10月 3rd, 2017 · お知らせ, 医療人類学(病い体験、illness)

「健康的に食べる」ってどういうこと?

〜「食べることの意味」を多元的に考える〜

2018年に「健康的に食べる」ということを多視的、多元的にみんなで考えるシンポジウムを開催したいなぁという願望を抱いています。今日は現時点での素案を以下にお知らせしたいと思います。興味のある方、是非ご参加下さい。また以下の募集内容を読んでいただき、パネリストの自薦、他薦を私までご連絡下さい。
■パネリスト募集

以下のような発表をして下さる方を募集します。
1.他人からは少し変わっているねと言われても「やめられない私の食事管理術」を紹介して下さる方。
2.他人からは理解されなくても構わない。ご自身が苦労しながらようやく手に入れた食事スタイルをお持ちであるという方。
3「健康的に食べられない」「普通に食べられない」という泥沼から、自力で這い上がって、今 自分らしい食べ方を見つけた、あるいは見つけつつあるという方。
■主旨:「健康的に食べること」の意味を掘り下げる
私たちが普段普通に使っている「健康的に食べる」ということは一体どういう行為を指すのか? 立ち止まって、みんなで考えるシンポジウムにしたいと思います。当事者の視点を、生物医学、栄養学、心理学、人類学などさまざまな観点から議論してみたいと思います。
■プログラム案
1.パネリスト発表(2〜3名の当事者を予定)
糖尿病、摂食障害など「食べる」という課題と向き合ってこられた当事者の皆さん。
2.パネルディスカッション
パネリストの発表について、医師、管理栄養士、臨床心理士、文化人類学者など、それぞれの専門家からコメントを頂きます。
3.特別講演
文化人類学者による特別講演を予定しています。

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リアルワールドにおける糖尿病薬物療法(9/4)

9月 3rd, 2017 · お知らせ

9月4日、東京ドームホテルで予定されている講演会の告知です。

ある糖尿病薬がリアルワールドで効くかどうか?は「医師ー患者関係」「患者への説明モデル」「患者の物語に基づいてエビデンスを活用しているかどうか?」が重要ではないかと思います。

処方に賦与する『物語』が薬効を決める!?

処方をするときに、その患者さんの状況、気持ちを踏まえ、処方にどんな物語を賦与するか!で、その薬と患者さんとの関係性が決まります。そして、それが薬効に繋がるのではないかと思います。そして、これこそ RCTとリアルワールドとの違いではないかと考えています。

SGLT2阻害薬は「減量」「血糖改善」「心血管イベント抑止」といった様々な側面をもった薬剤です。従って、それぞれの患者の病態によって、SGLT2阻害薬の果たす役割は異なります。それに合わせて、どのような「物語」を賦与したら良いのかについてお話ししたいと思います。

もちろん『薬効』は医師−患者関係によっても大きく異なる訳ですので、それについても簡単に触れたいと思います。

その上で、服薬コンプライアンスを改善するために必要なことは何か?について、皆さんと考えてみたいと思います。
そして、最後にSGLT2阻害薬の活用例を、患者さんへの説明の仕方とともに解説してみたいと思います。

講演会タイトル

HCCQの結果.001

悪循環.001

好循環が始まる.001

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